木造住宅の害敵たち①シロアリ シロアリやキクイムシは生態系の益虫!? 被害と習性、そしてホウ酸による対策
人の暮らしを悩ますシロアリとは、そもそも何でしょうか。シロアリと聞くと住宅の被害を思い浮かべがちですが、その裏には、自然の循環を支える大切な役割が見えてきます。
最終更新日 2026年10月22日(初版 2022年5月1日)
PDF:シロアリの羽アリを見分けられるパンフレット(保存版)
目次
- 住まいと人の暮らしにダメージを及ぼす木材劣化生物たち
- シロアリはどこにでもいる(地下シロアリ/乾材シロアリ/キクイムシ)
- シロアリの本当の役目。地球にとっての「益虫」
- 健康を害さず、効果が長く続くホウ酸防腐防蟻
- 動画で見る、シロアリの生態と被害の実態
住まいと人の暮らしにダメージを及ぼす木材劣化生物たち
木造住宅の木材を傷める生き物は、シロアリだけではありません。キノコの仲間である木材腐朽菌やカビ、キクイムシなどの甲虫も木材劣化生物です。木材腐朽菌とカビについては②木材腐朽菌とカビで紹介しています。
シロアリはどこにでもいる
日本では現在20種類を超えるシロアリが確認されています。ここでは特に木造の建物に大きな被害を与える4種(地下シロアリ2種、乾材シロアリ2種)と、番外編としてキクイムシを紹介します。
地下シロアリ:ヤマトシロアリ・イエシロアリ(ミゾガシラシロアリ科)
国内の代表的なシロアリは、日本全土に見られるヤマトシロアリと、比較的関東以西の暖かい地域に生息するイエシロアリです。どちらも地中(地下)を移動しながら、たどり着いた木部の主成分であるセルロースを食べるので、地下シロアリと呼ばれています。
ヤマトシロアリは地中を移動し、土の中や食べている木材がそのまま巣になります。紫外線と乾燥から体を守るため、土と自らの唾液で作った「蟻道」というトンネルの中を移動します。
湿ったところを好み、一般の家屋では台所や風呂場など北側の水まわりに被害が多く見られます。つまり、給排水設備の水漏れを放っておくと、シロアリ被害を招く原因になります。
ヤマトシロアリの羽アリは、4〜5月の雨の日の翌日、晴れた日のお昼前ごろから一斉に群れて飛び立つことが多く、これを「群飛(ぐんぴ)」といいます。
イエシロアリは、地中や建物の中などに塊状の巣を作ります。水を運ぶ能力に長けているので、比較的乾いた木材まで移動して食べることができます。巣(コロニー)は大きなもので100万匹に達し、活発で破壊力も強く、数週間で建物の強度に影響が出るほどの被害になることもあります。
6〜7月の風のない夕方から夜にかけて、数千〜数万匹の羽アリが一斉に飛び立ち(群飛)、電灯などに集まります。
シロアリは、本当はアリじゃない!?
道でよく見かけるクロアリの祖先はハチの仲間、そしてシロアリの祖先は、なんとゴキブリの仲間です。よく観察すると、特徴の違いがはっきり分かります。名前から誤解しやすいのですが、シロアリは英語では Termite(ターマイト)。アリとは別の生き物として扱われています。
また、シロアリやゴキブリは、幼虫から成虫まで外形が大きく変わらず、成長にしたがって色や大きさが変わります(※1)。これを不完全変態といいます。アリやハチは完全変態といい、幼虫からさなぎ、成虫へと変化します。
※1 シロアリは成長や役割によって「職蟻(擬職蟻)・兵蟻・ニンフ・有翅虫(羽アリ)・王・女王」に分かれます。
乾材シロアリ:アメリカカンザイシロアリ・ダイコクシロアリ(レイビシロアリ科)
日本では主に、本州・四国・九州で被害を広げるアメリカカンザイシロアリと、奄美群島以南と沖縄で被害を広げるダイコクシロアリが生息しています。最近特に多いのは、アメリカカンザイシロアリによる被害です。
アメリカカンザイシロアリは外来種で、もともとはアメリカのカリフォルニア州などに生息していました。輸入建材や輸入家具などの木工品に潜み、ほかの地域に広がっていったと考えられています。
日本では1976年に東京都江戸川区で初めて見つかり、現在では日本全国に広がっていると考えられています。
土の中に巣を持たず、乾燥した木材から木材へと巣を作って被害を広げるので、乾材シロアリとも呼ばれます。乾いた木材を食べることができ、家屋の屋根裏、窓枠や柱、畳、ときには家具からも発生します。
食べている木材の穴から、乾燥した俵状の、筋の入った砂粒のような糞粒(ペレット)を外に出します。地下シロアリと違い、乾燥材にほんのわずかに含まれる水分だけで生きられるので、蟻道を作らず、食べている場所がそのまま巣になります。
そこから羽アリとなって飛び立つので被害は家全体に広がり、巣(コロニー)が家中に分散するため、駆除がとても難しくなります。
アメリカカンザイシロアリの羽アリは、6〜10月にかけて小規模な群飛を何度も繰り返すことが多いのですが、暖房で暖かい屋内では一年中発生することもあります。
くわしくはアメリカカンザイシロアリとは、アメリカカンザイシロアリの見分け方・被害事例・発見方法をご覧ください。
アメリカカンザイシロアリへの有効な対策
番外編 キクイムシ:木造住宅の害敵はシロアリだけじゃない
木造住宅をおびやかすのは、シロアリだけではありません。穿孔性甲虫類と呼ばれるキクイムシやシバンムシ(死番虫)も、被害を及ぼす虫として知られています。
キクイムシの体長は2〜8mmほどと個体差が大きく、色は暗い褐色で、体は細長く平たい形です。建築時に被害を受けた材料を使ったり、被害のある家具を持ち込んだりすることで家屋に入り込み、床、柱、壁、下地材などの建材や家具を食べます。
木材(広葉樹)の内部にある「導管」という養分の通り道に産みつけられた卵がかえり、幼虫が木材の中を食べ進みます。さなぎを経て成虫になり、毎年4〜8月ごろ、食べていた木材から飛び出します。そのとき、鉛筆で刺したような脱出穴を開け、そこからきな粉のような木くずと糞がこぼれ出ます。脱出した成虫は交尾し、また導管に卵を産みます。
このように、ヒラタキクイムシは一度出てしまうと、なかなか止めることができません。その点はアメリカカンザイシロアリの被害と似ています。
住宅の骨組みである構造材のヒノキ・スギは針葉樹で、堅い広葉樹は家具やフローリングなどに使われます。キクイムシの被害は導管のある広葉樹と竹に限られ、針葉樹は被害にあいません。一方、シバンムシは広葉樹・針葉樹を区別せず、畳も食べます。シロアリにもキクイムシにも「ヒノキなら大丈夫」という考えは通用しないようです。
ボロンdeガード®は、キクイムシなど昆虫全般にも駆除と長期予防の効果を発揮します。
シロアリの本当の役目。地球にとっての「益虫」
家屋に被害を及ぼすシロアリは、人にとっては厄介な存在です。しかし実は、自然界にとってはとても重要な生き物です。
分解者であるシロアリ
木材(樹木の幹)は主に「セルロース」という炭水化物でできています。「二酸化炭素の缶づめ」と言われるほど地球上で最も多い炭水化物で、人の暮らしの身近にあり、「紙」もセルロースです。
セルロースには糖分が含まれていて栄養価も高いのですが、とても分解しにくく、人間を含む多くの生き物は消化できません。これを分解して栄養にできるのが、シロアリ(※2)やキノコなどの木材劣化生物です。こうしてシロアリはセルロースをほぼ独占でき、繁栄を続けてきました。
※2 正確には、シロアリの体内にすむ共生生物が分解し、シロアリの栄養に変えています。
シロアリがいない地域
コーヒーの栽培が盛んな「コーヒーベルト」のように、シロアリも生息できる地域が決まっていて、寒い地域には生息できません。
国内でも北海道は、もともとシロアリがいないとされていました。しかし住宅の性能が上がって気密性が高まり、建物が冷えにくくなったことで、人にとって暖かく快適な環境はシロアリにとっても暮らしやすくなりました。全国で見られるヤマトシロアリだけでなく、暖かい地域にしか生息できなかったイエシロアリも年々北上し、北関東などでも被害が報告されています。
暖かい地域を好むシロアリほど家屋への被害が大きく、駆除にもとても手間がかかります。
お住まい中の住宅のシロアリ対策
動物性たんぱく質へ。捕食されるシロアリ
そんなシロアリの天敵は、クロアリをはじめ自然界にたくさんいます。分解の難しいセルロースをシロアリが食べ、そのシロアリをクロアリが食べる。つまりクロアリは、シロアリを食べることで、間接的にセルロースを食糧にしているのです。
食物連鎖のはじまりです。シロアリは、分解の難しいセルロースを動物性たんぱく質に変えています。生態系から見れば、とても重要な生き物なのです。
シロアリは益虫? 害虫?
シロアリは木造住宅にとっては大害虫です。しかし、生態系を底辺で支える大益虫でもあります。そして「どこにでもいる」ということも知っておきましょう。
街を歩いていても、たとえば立ち木を支える杭の割れ目に、転がっている丸太の下に、枯れ木に、切り株に、シロアリはいます。
シロアリを寄せ付けない工夫を
シロアリは寒さに弱いのですが、冬眠はできません。寒い冬でも弱々しく活動しています。地中に埋められたケーブルの被膜をかじってしまうのも、暖かいからなのでしょう。
そんなどこにでもいるシロアリが、寒い中でエサを探しています。すると暖かい場所に行き当たりました。排水ますです。きっとお湯を使っているのでしょう。そこから続く暖かい配管を伝っていくと、基礎にたどり着きました。そこに断熱材でもあれば、しめたものです。
日本ボレイトでは、シロアリが寄りにくく、入りにくい家づくりをご提案しています。お気軽にご相談ください。
健康を害さず、効果が長く続くホウ酸防腐防蟻
現在、住宅に一般的に使われている防腐防蟻薬剤は、ネオニコチノイド系に代表される合成殺虫剤が9割を超えます。合成殺虫剤は数年で効果が切れるため、数年ごとに再処理が必要になり、そのたびに費用もかかります。
合成殺虫剤の健康と安全性への懸念
屋内での合成殺虫剤の使用は、人、特に子ども、乳幼児、高齢の方、ペットへの健康影響が心配されており、シロアリ駆除後の体調不良の相談も長年寄せられています。
EUではネオニコチノイド系農薬の使用制限が設けられています。人への健康の懸念のほか、生態系への悪影響も各団体の調査で数多く報告されています。健康被害の心配や、再処理のたびにかかる費用は、住まい手にとってうれしいものではありません。
<参考>ホウ酸か合成殺虫剤か? 荒川民雄のホウ酸談義:Vol.3
効果が切れにくく、健康被害の心配がないホウ酸防腐防蟻 ボロンdeガード®
日本ボレイトのボロンdeガード®の主成分であるホウ酸は、揮発しないため吸い込む心配がなく、屋内の空気を汚しません。化学物質過敏症やシックハウス症候群の心配もなく、効果が長く続く、人と環境にやさしい木材保存剤です。
生態系を崩さずに共存する、ホウ酸防腐防蟻・高耐久化住宅処理
動画で見る、シロアリの生態と被害の実態
毎年、ゴールデンウィークから秋口まで、丈夫なはずの住宅の耐震性までおびやかす小さな生き物「シロアリ」の実態を、動画で紹介します。
シロアリが寄りにくい家づくり、お住まいのシロアリ対策について、お気軽にご相談ください。





