世界のホウ酸処理事情。ホウ酸にできること。

写真はカリフォルニア州にあるホウ酸塩の露天採掘鉱山(U.S.Borax社)。
大きさが3km四方を超える鉱山は世界最大規模のホウ酸塩の鉱床で、世界のホウ酸塩需要の半分近くを供給すると言われています。
人の暮らしや様々な製品にも必須の元素ホウ素。
ここではその「ホウ酸塩」を用いた住宅の防腐防蟻における、世界のホウ酸処理事情を見ていきます。
欧米・オセアニアではもっともポピュラーな木部用保存剤。ホウ酸にできること、メリット・デメリット。
世界のホウ酸処理事情
世界諸国の標準はホウ酸処理
世界諸国では住宅の防腐防蟻にホウ酸処理の導入が進んでいます。
アメリカの例では、土壌処理には農薬系を使用しますが、木部処理には一般的にホウ酸が使われます。
合成殺虫剤を主にする農薬系を予防的に木部に使用することは許されておらず、また、ホウ酸が米国環境保護庁(U.S.EPA)に認可されている数少ない木材保存剤だからです。
特に甚大な被害を起こすイエシロアリが多い地域。ハワイの例。
特にハワイでは、イエシロアリの甚大な被害に対処するため、木造住宅の土台、梁、根太、床下地板、間柱、柱などすべての構造部材の防蟻処理が条例で義務づけられ、現在ではホウ酸塩(DOT※1)処理材が主流となっています。
※1DOT…八ホウ酸二ナトリウム四水和物(木材保存用の防腐防蟻に効果的なホウ酸ナトリウムの種類)
DOTは、日本工業規格JISK1571の試験方法に合格し公的に認定されている防蟻剤です。


木造住宅は、"木材"という自然の恵みを構造に利用して建てられる住宅
木材住宅のメリット・デメリット
木造住宅は、"木材"という自然の恵みを構造に利用して建てられる住宅です。
「木の家に住みたい」という憧れ、環境への負荷が少ないこと、また、低炭素社会をにらんだLCCM住宅(ライフサイクルカーボンマイナス住宅)に有利になると言われています。
しかし、木造住宅には弱点もあります。腐れとシロアリです。これらをきちんと制御しないと、住宅の寿命が短くなってしまいます。
"木造住宅を長生きさせる"、これからはそんなことが求められるのでしょう。

ホウ酸にできること
人の暮らしと住まいを守る木材保存剤「ホウ酸」
木材を腐れやシロアリ、カビ、キクイムシなどから守る薬剤を「木材保存剤」と呼びます。
ホウ酸も木材保存剤です。ホウ酸はこれまでの木材保存剤と比べて、シックハウス症候群や化学物質過敏症への心配がなく「安全」であり、「効果が長期間持続」するという特長があります。
ホウ酸処理のメリット
①.安全性
- ホウ酸は非揮発性で空気を汚しません。無色無臭。お住まい中や、住宅まるごとの処理にも最適
- 床下の空気を循環させる工法にも安心して使用することができます。
- ホウ酸の安全性が高さは、施工者にも安全です。
②.持続性
- ホウ酸は分解されないので、効果が減衰することがありません。つまり経済的。
- 再処理ができない壁体内等の処理に最適。
- 害虫の世代交代で、耐性をもたれることがありません。
③.機能性
- ホウ酸は木材中のわずかな水分に溶け込み、内部に深く浸透していきます。
- 燃焼に強く、金属への防錆効果もあり、建物への影響がありません。
- シロアリ・キクイムシなどの食害昆虫の他、カビ・菌を抑える力があります。

ホウ酸処理のデメリット
一方、ホウ酸は水溶性であるため、一般的に、地面(土壌)につけたり雨曝しになる木材の保護には不適とはされていますが・・・
ホウ酸が優れた効果を発揮する条件は次の2つ
- ①地面につけない
- ②雨曝しにならない
適しているもの
- 土台・柱などの構造材や家具など
適していないもの
- 外構(杭、柵、塀など)
ボロンdeガード®ではホウ酸は弱点を逆手に活かす、屋外でも効果を発揮するボレイトスティック®、ボレイトフィラー®を取り扱っています。
※河川や土壌等に成分が流出し、環境への影響が懸念される箇所には使用できません。
ホウ酸製品ラインナップ一覧

