木造住宅を短命化する合成殺虫剤処理荒川民雄のホウ酸談義:Vol.2

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木造住宅を短命化する合成殺虫剤処理荒川民雄のホウ酸談義:Vol.2

ホウ酸処理界の父、荒川民雄によるコラム。第二話目
荒川民雄のホウ酸談義 第二話

理学博士でもあり、日本のホウ酸処理界の父でもある荒川民雄によるコラム「荒川民雄のホウ酸談義」。

第二話目は「木造住宅を短命化する合成殺虫剤処理」。不定期の連載でお届けしていきます。

日本の住宅の90%以上は、まともな防腐・防蟻処理をされていない

日本の木造住宅は短命です。

下図は、日・米・英の滅失住宅築後年数を比較したものです。

日・米・英の滅失住宅築後年数の比較図

明らかに理由があると読み取れる、日・米・英の住宅寿命の比較。

滅失住宅築後年数とは、5年ごとに総務省が実施する住宅・土地統計調査から、その期間に取り壊された住宅の築後年数の平均値を求めたもので、住宅建替周期としては信頼できるものです。

「日本の住宅の建替え周期が短いのは、終戦直後に低品質の住宅を乱造したからだ」などという人もいますが、同じ短命データが20年続くと、やっぱり日本の住宅が長持ちしないのは事実だと思われます。

米英の住宅寿命が伸びているのに、日本だけ相も変わらず30年です。技術立国日本の住宅がなぜかくも短命なのか。

答えは簡単です。
日本の住宅の90%以上は、まともな防腐・防蟻処理をされていないからです。

ほとんどが新築時に農薬で処理されている

写真はよく見る新築風景です。

新築住宅にオレンジの着色された合成殺虫剤を吹き付ける

新築に目立つオレンジ色の合成殺虫剤を処理するよく見る風景。

オレンジ色は、地上1メートル以内の重要な構造材です。地面に近いため腐れやシロアリの被害を受けやすく、建築基準法で防腐・防蟻処理が義務付けられています。

この部分の防腐・防蟻処理は、40年前から農薬の独壇場でした。皆様のお宅も、ほとんどが新築時に農薬(殺虫剤+防腐剤の混合物)で処理されているはずです。
農薬は食品の残留農薬汚染を防ぐため、分解しやすい化学構造をしています。住宅木部に塗布しても5年で効力を失います。

このため、住宅を長持ちさせるには、所有者は5年ごとに写真のオレンジ色の部材の防腐・防蟻処理を繰り返す必要があります。
処理を怠れば、あなたの住宅は、即、建築基準法違反住宅になります。いつ腐っても、シロアリに食害されてもおかしくない状態です。

しかし、壁内部の構造材を処理するには、膨大な費用が掛かるので、5年ごとの再処理は机上の空論に終わり、実行する人は皆無です。これが短命住宅の一大原因です。

ホウ酸系の木部処理剤を使ってください

1.マイホーム造りには、工場でホウ酸系や銅系などの無機薬剤で処理された木材を使いましょう。無機薬剤の効果は、100年以上持続します。

2.現場処理する場合は、ホウ酸系の木部処理剤を使ってください。数時間おきに、2回以上ホウ酸処理液を散布すれば、非常に高い耐久性が保証されます。

もう住宅を建ててしまった方は、お宅がシロアリ保険や品確法の瑕疵担保責任でカバーされているか調べてください。カバーされていない場合は、ホウ酸処理できる業者に連絡し、屋根、外壁内部、床下の構造材をホウ酸処理してください。ホウ酸処理によって寿命を30〜50年延ばすことができます。

長持ち住宅は、家計にとって大きなプラスです。30年しか持たないマイホームを30年ローンで建て替えれば、あなたは生涯ローンの返済に追われます。マイホームが100年持てば、ローン返済後の70年はお金の心配のない暮らしが待っています。

荒川民雄プロフィール

荒川民雄プロフィール写真
ARAKAWA,Tamio

1959年東京大学工学部応用化学科卒業。1959〜94年、合成繊維会社で高分子材料の技術開発に従事。在職中の1961年、フルブライト留学生として渡米。1964年 Cornell大学化学科博士課程終了。1994〜1998年、マイウッド株式会社研究所長としてスギの用途開発に従事。1999年からコンサルタントとしてホウ素系木材保存剤の公的認証推進と普及に携わる。日本のホウ酸処理の第一人者。理学博士。
現在、NPO法人ホウ素系木材保存剤普及協会理事長、有限会社ボロンテクノロジー社長、一般社団法人日本ホウ酸処理協会(JBTA)代表理事、日本ボレイト株式会社会長。

著作に「『シロアリはホウ酸でやっつけなさい!』―木の住まいを人に優しくコストのかからない長期優良住宅(住まいの学校ライブラリー)」がある。

荒川民雄書籍シロアリはホウ酸でやっつけなさい! シロアリはホウ酸でやっつけなさい!-木の住まいを人に優しくコストのかからない長期優良住宅とするために(住まいの学校ライブラリー)
荒川 民雄

ホウ酸塩の化学的な基本性状から具体的な使用方法・用量について、そしてシロアリの生態と習性から対策まで、世界から見て極端に短命な日本の住宅の長寿命化についてわかりやすく解説しています。


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