【ボレイト養蜂部】シロアリの出現
今回は、シロアリがいつ生まれたのか、
その歴史について調べてみました。
「進化史」「人類との関わり」「研究史」の
3つに分けてまとめます。

【シロアリの歴史】
1. 進化史(約3億年前〜現在)
■ 起源:古生代に登場
シロアリの祖先は ゴキブリに近い昆虫 とされる。
最も古いシロアリ型昆虫の化石は 約3億年前(石炭紀) の地層から見つかっている。
当時から木材を食べる習性を持ち、植物の分解者として森の生態系を支えていた。
■ 真社会性の発達(約1億5千万年前)
シロアリは 真社会性(女王・兵隊などの階級を持つ社会)を
最初に獲得した昆虫 だと考えられている。
白亜紀の化石から、既に 女王や兵隊階級 を持っていた形跡がある。
シロアリはアリよりもはるかに早く社会性を獲得した(アリは約1億年前)。
■ 真菌との共進化
アフリカの「キノコシロアリ」は、
菌類(Termitomyces)を栽培して食べる高度な農耕を行う。
この「菌園農業」は少なくとも 3000万年以上前 に始まったとされる。
【人類との関わりの歴史】
■ 古代文明にも記録が残る
エジプトの壁画や文献には、木材や穀物を食害する白い小さな虫として記録がある。
古代中国の文献にも「白蟻(はくぎ)」として被害の記録がある。
■ 建築・木造文化との関係
日本では古来より木造建築が多く、シロアリ被害が社会問題になることも多かった。
特に ヤマトシロアリ や イエシロアリ は家屋被害を起こす代表種。
【科学的研究の歴史】
■ 18~19世紀:分類学的研究の開始
昆虫分類学の発展とともに、シロアリが “白いアリ” ではなく、
アリと無関係でゴキブリに近い昆虫 であることが明らかになった。
■ 20世紀:共生微生物の発見
シロアリの腸内には木材のセルロースを分解する
原生生物・細菌 が共生していることが判明。
これにより、シロアリが「森の分解者」として重要な役割を
担っていることが評価され始めた。
■ 現代:遺伝学・生態学の進展
シロアリ社会の構造、フェロモンによるコミュニケーション、
腸内微生物のゲノム解析などで急速に理解が進んでいる。
気候変動とシロアリ分布の研究も盛ん。
【まとめ】
シロアリは 3億年以上前に出現 した非常に古い昆虫。
世界で最も早く 高度な社会性 を確立した生物のひとつ。
森林生態系の 木材分解者として不可欠 な存在。
一方で、人間社会では 家屋害虫として古代から問題 となっていた。